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海外視察レポート

米国西海岸グレートカンパニー視察セミナーレポート:5日目

片山 和也

更新日:2019.09.25

2019年 9月21日 土曜日  このセミナーの詳細>>

米国西海岸グレートカンパニー視察セミナーレポート:5日目(2019年 9月21日 土曜日)

 

【現地講演・まとめセミナー】

(1)武蔵境自動車教習所 代表取締役 高橋 明希様による講演

 

(1)武蔵境自動車教習所 代表取締役 高橋 明希様による講演

  • ●武蔵境自動車教習所は1960年創業、社員数170名。新車と中古車の販売も手掛ける。
  • ●日本で一番大切にしたい会社大賞を受賞。事故を起こさないドライバーを育てる教習所として知られる。姉妹校として香川県の坂出自動車学校がある。
  • ●経営者になって10年。2015年にスタンフォード大学に特別研究員として留学。ファミリービジネス、デザインシンキング、イノベーション、ホスピタリティ・マネジメントを学ぶ。
  • ●現在はVUCA(=先行き不透明)の時代であり、両利きの経営が求められる。その為に“既存知識の深掘り”と“新しい知識の探求”両方が求められる。
  • ●新しい知識の探求に必要なイノベーションを創出する思考法として2016年にデザインシンキングというコンセプトが生まれた。日本ではデザインシンキングは知らない人も多いが、サンフランシスコではほぼ全てのビジネスパーソンが、デザインシンキングを知っている。
  • ●アイデアは質を求める前に量が大事。
  • ●電通が提携している米国のアイデオという会社では、4000のアイデアから試作品50くらい、実際に製品化できたものは5個、お金を生む商品2個くらいだとしている。
  • ●また100の賭けをして6%が成功に結び付くとも言われ、さらにダビンチは16年にわたりモナ・リザを描き続けたと言われる。
  • ●イノベーションをつくるための3Pとして下記がある。

 People  異邦人と交わる
 Place   城下町を離れる
 Process 共通言語、フレームワーク

  • ●米国でブリリアントホープという会社を設立した。スタンフォード大学・シリコンバレーへの進出コンサルティングでスタート。米国でのマーケティング支援、女性の起業家を応援するコーチングを行っている。

 

(2)日本人留学生によるパネルディスカッション

  • ●交換留学と正規入学とでは、入学後のネットワークが全く違う。本当にその大学の人脈に加わる為には正規入学である必要がある。
  • ●学費は4年間で2000万円弱かかる。コミュニティーカレッジ(学費が安い)からの編入の場合でも1000万円強の学費が必要。
  • ●最近は奨学金が充実している。奨学金は返す必要が無い。ローンは返す必要がある。
  • ●米国では「あなたはどう行動しますか?」ということを常に聞かれ続ける。

 

(3)セルフマネジメント(ティール組織)専門家:ダグ・カークパトリック氏の講演

  • ①ダグ氏の略歴
  • ●同氏は“ティール組織”で有名なモーニング・スター社のコンサルティングを手がけ、ティール組織づくりの専門家として著名である。
  • ●アマゾンのベストセラー著者であり、TEDトークのスピーカーでもある。ATD(アソシエイト・タレント・デベロップメント)理事。

 

  • ②マネジメントの現状
  • ●マネジメントは崩壊している。
  • ●多くの労働者がディス・エンゲージメントの状態に陥っており、20%の労働者が意図的にディス・エンゲージメントを行っている。その結果、直接的に500億ドルの損失が生じていると言われ、別の調査では3兆ドルの損失が生じているとも言われている。
  • ●その結果クリエイティビティが無くなり、リーダーシップが無くなっている。我々は非常に壊れやすい世界で生きている。現在の悪いマネジメントから抜け出すためには何が必要なのか?

 

  • ③自然界に学ぶ
  • ●英国にはラウンドアバウトという、信号機の存在しない十字路が存在する。何カ所かを車が回る(ラウンド)渦の様な場所がある。ランドアバウトは通常の交差点よりも15~80%効率が良いと言われ、また事故が3/4になると言われている。
  • ●ランドアバウトにはシンプルな2つのルールしかない。

 ルール1:反時計回り
 ルール2:徐行する

  • ●またDNAは2つの糖質から複雑な遺伝子情報を形成している。
  • ●さらに2つの線で、ツタの葉の複雑な形状は全て表現することができることが、フラクタル理論で知られている。
  • ●自然界にはこうしたシンプルなルールで複雑なものを有機的に生み出すことができている。

 

  • ④ティール組織:モーニング・スター社の事例
  • ●このような組織をつくれるでしょうか?
  •  ・みんなが意見を言える環境
     ・女性がチャレンジをしなくてもいい
     ・リーダーがどこにでもいる
     ・イノベーションが自然発生する
     ・前組織がアジャイル
     ・複雑な処理を単純化できる
     ・VUCAの世界からVUCAを抜け出す

  • ●世界最大のトマト加工会社、モーニング・スターでは2つのシンプルなルールしかない。
  •  ルール1:人と人のぶつかり合いはいけない。
     ルール2:約束を守らないといけない。

  • ●同社にはカリフォルニア中から大量のトマトが運ばれてきており、イタリアから海運により運ばれてくることもある。またトマトは収穫時期により繁忙期と閑散期がある。
  • ●その結果、かつては1週間に100時間の労働を強いられることがあった。
  • ●ところは現在のモーニング・スター社は上司・スーパーバイザー・マネージャー無しで、かつての時代よりも多くのトマトをさばいている。
  • ●売上高は数十億ドルであり、2011年には世界中のあらゆる会社の中で最もクリエイティブに管理されている会社であると、ハーバードビジネスレビューで紹介されている。

 

  • ⑤理想的な組織について
  • ●達成しなければならないことは複雑、しかし手段は簡素化すべきである。VISAの創業者も簡素化は大事であり、ルールが複雑なのは悪い状況だと言っている。
  • ●自己管理の基盤とは?
  •  ・原理原則からスタート
     ・人間は究極のリアリティ
     ・技術力と社会力と連携
     ・複雑な処理を単純化して管理
     ・管理コストを削減

  • ●原理原則の1つが“約束を守る”である。これを全員が実行できれば、もはや警察もいらない。
  • ●ミレニアル世代は仕事に目的意識を持つ。仕事の意味をつくることが必要。
  • ●従来のマネジメントはコストがかかる。なぜならスパン・オブ・コントロールの原則によると、10人の従業員には1人のマネージャーが必要とされている。
  • ●しかし本来、彼ら従業員も日々の必要な判断は自分自身で行っているはず。自己管理ができればそうした無駄なマネジメントのコストも削減できる。
  • ●自己管理の特性とは。
  •  ・ゼロ指揮権
     ・ナチュラルリーダーシップ
     ・リーダーとイノベーターがどこにでもいる

米国西海岸グレートカンパニー視察セミナーレポート:4日目

片山 和也

更新日:2019.09.25

9月20日 金曜日  このセミナーの詳細>>

米国西海岸グレートカンパニー視察セミナーレポート:4日目(2019年 9月20日 金曜日)

 

【視察9社目】ウォルマート

サンノゼ郊外のウォルマートの外観

ピックアップタワーの様子

スマホのQRコードで受取が可能
  • ●売上高50兆円超の売上高世界最大の小売業である。
  • ●一昨日視察したホールフーズが高級路線であるのに対し、ウォルマートは”エブリデー・ロープライス”を売りにする、ディスカウントストアである。
  • ●アマゾンに対抗して、ウォルマートも通販を展開している。そのウォルマートの通販で購入した顧客が、店舗で受取ができる仕組みが上図ピッキングセンターである。

サンフランシスコ市内の様子

市内で最も高いセールスフォースタワー
  • ●サンノゼより約70km、陸路バスにてサンフランシスコ市内に移動します。

 

【視察10社目】ファーストリパブリックバンク

同行マネージングディレクターの講演

貸出高は毎年2割のペースで増加

しかし不良債権は全米平均1/3未満

(1)同行の概要

  • ●日本には銀行が200行存在する。それに対してアメリカでは5000行以上の銀行が存在する。
  • ●アメリカでは25番目に大きな銀行である。創業者が現在も代表を務めている。
  • ●ここ4年間で時価総額が2倍に。預金残高と貸出高も、この5年で2倍と急成長を遂げている。毎年平均すると2割以上の成長を遂げている。新規顧客が増えなくても、2件目の自宅の購入など既存顧客との取引が拡大している。

 

(2)同行の理念

  • ●数字も大事であるが、企業文化がそれ以上に大事である。当行は人が辞めない。他の銀行は人の入れ替えが激しい。
  • ●リレーションシップを重視しており、顧客の担当者は1人に絞っている。他の大きな銀行は役割ごとに部門が分かれている。
  • ●クライアントサービスで競合を差別化している。CEOはクライアントサービス・オーガニゼーションと言っている。
  • ●全米平均を40%近く上回るレベルで成長を続けている。この業界の中でベストな存在になりたい、と思っている。

 

(3)同行のビジネスモデル

  • ●お客とともに成長する、というスタンスをとっている。お客とともに成長する、というのがシンプルなビジネスモデルである。
  • ●同行の売上比率はサンフランシスコで39%、ニューヨークで21%、ロサンゼルス18%、ボストン8%である。サンフランシスコのベイエリアを中心に、市場が伸びている。59%の富裕層がこのエリアに住んでいる。ニューヨークやボストンよりも、同エリアの方が成長している。
  • ●このサービスを他人に紹介したいか、という指標NPSで、同行は81点という高いスコアを有している。アメリカの銀行業の平均は35である。ちなみにアップルが63、ネットフリックスが62である。
  • ●ローンの中身は質が高く、リスクを取らないスタイルである。返済能力のない顧客には貸出をしない。アメリカの他銀行は不良債権比率が0.4%なのに対し、当行は0.15%である。リーマン・ショックの際も他銀行の1/3くらいの損失で済んだ。
  • ●ローンのうち9割は1985年から取引が続いている。
  • ●ミレニアル世代へのビジネスが伸びている。この世代は他の世代と全く違う世代である。学資ローンの借り換えをサービスとして提供している。

同行店舗の外観

店舗内の接客用ロビーの様子

店舗内オフィスの様子

 

【視察11社目】セールスフォース・ドットコム

同社外観

同社60階のエグゼクティブフロアより

同社キーマンによる講演の様子

(1)同社の概要

  • ●元オラクルのエンジニア、マーク・ベニオフが創業。「アマゾンの様に業務用ソフトを簡単に扱えないか」という発想が創業のきっかけである。
  • ●創業20周年であるが、シリコンバレーでは古株である。全世界に54事業所があり、従業員4万人、約15万社のユーザーがおり、売上高140億である。
  • ●セールスフォースCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント:顧客管理システム)は理論上1つのデータベースであり、基幹システムとの連携がシームレスである。
  • ●荏原製作所は営業担当者が日あたり1時間しか営業ができていなかった。同システムの導入により、営業従事者の効率を28%高めることができた。

 

(2)提供サービスのコンセプト

  • ●産業革命は第一次から始まり、現在は第四次産業革命となっている。キーワードは”コネクテッド(つながる)”ということである。
  • ●お客が朝起きてオフィスに向かうまで、モバイルのショートメールチェックに始まり、スマートスピーカーの使用、パソコンでメールチェックをする、など全てがコネクテッドである。セールスフォースはこうした顧客の動きを全て管理することができる。
  • ●コネクテッドによって我々の生活は大いに楽になった。ウーバーも、かつてタクシーを捕まえることの大変さからすると劇的に楽になった。
  • ●テスラ、ウーバー、ネットフリックスは顧客データを活用することによって、大いに価値を高めることに成功している。
  • ●営業をする際に最も考えなければならないことは、カスタマー・サクセスである。
  • ●セールスフォースには4つのコア・バリューがある。
  •  1. トラスト:信用
     2. カスタマー・サクセス:お客様の成功
     3. イノベーション
     4. イクオリティ:校正さ

  • ●1:1:1モデルというポリシーがある。1%の時価総額、1%の時間、1%のプロダクトを地域社会に提供している。地域社会に貢献するボランティアへの参加は、会社として就業時間と認めて給料を払う。
  • ●セールスフォースが顧客に提供するプラットフォームを、カスタマー360と呼んでいる。カスタマー360は下記のモジュールより構成されている。
  •  <カスタマー360>
     ・セールス
     ・サービス
     ・マーケティング
     ・コマース
     ・エンゲージメント
     ・プラットフォームエコシステム
     ・インテグレーション
     ・アナリティクス
     ・業種別ソリューション
     ・コミュニティ
     ・人材育成
     ・プロダクティビティ

  • ●このプラットフォームにより、将来には300万人もの雇用を生み出すと予想されている。
  • ●セールスフォースは家族主義に回帰している。ハワイ語で“家族”のことをOhana(オハナ)と呼ぶ。そこで、この60階のフロアも“オハナフロア”と名付けた。

 

(3)同社の人事(HR)戦略

  • ●心理学的アプローチで同社の人事戦略の最適化を行っている。
  • ●エンゲージメントに重点を置いている。エンゲージメントとは信頼関係であり、「自分自身が必要とされていると感じている状態」である。
  • ●従業員がエンゲージしている状態であれば、お客様にさらなる良い状態を提供する。そしてお客がハッピーなら、さらにお金を落とす。
  • ●エンゲージの逆はディス・エンゲージである。言うならば会社が自分のことを気にかけてくれていない、と感じるとディス・エンゲージの状態に陥る。
  • ●同社の人事戦略は「エンプロイー360」に集約される。
  •  <エンプロイー360>
     ・オン・ボーディング(=就業に必要な手ほどき)
     ・サービス(=従業員向けサポート)
     ・エンゲージメント
     ・スキルの向上
     ・分析

  • ●心理学の法則である、マズローの欲求五段階説をHRマネジメントに取り入れている。人は安全だと思える環境でないと、パフォーマンスを発揮しない。その上で承認欲求を満たすことで、人のモチベーション(やる気)は上がる。
  • ●そのために信頼関係を築き、働く意味・目的を共有する。
  • ●従業員が必要な情報は、サーチエンジン“ドリルヘッド”により提供している。このサーチエンジンにより社員は必要としている情報を簡単に探せる。同時に、従業員が必要としていることを把握することができ、最終的には従業員が探さなくても良い様にする。
  • ●前述の“オン・ボーディング”では、勤務初日の7日前にシステムから行うべき準備が送られてくる。そして1年が経過すると勤続1年目に必要な準備が送られてくる。こうした施策の結果、社員からの質問が35%減り、人事管理の生産性が上がった。
  • ●オン・ボーディングが完了したら従業員への研修サービスを提供することにより信頼性を構築する。
  • ●また同社にはパフォーマンス・マネジメント・システムがある。これはセールスフォースにより情報集積を行い、自分の仕事がどれだけ重要か目で見てわかる様になる。
  • ●この様に信頼関係を構築し、目的意識を明確にした結果、94%の従業員が「さらにがんばる気持ちがある」と答えている。そして過去5年間で離職率が7%下がった。
  • ●社員が長く社内で頑張れば、お客もそのまま維持される。現在の売上のうち80%が既存顧客からもたらされている。こうした背景があり、過去のあらゆる会社と比較していち早く売上があがった。
  • ●さらに同社にはV2MOMという経営プロセスがある。同社の人事戦略、人事評価もV2MOMによって構成されている。
  •  <V2MOM>
     ・ビジョン(Vision) 私たちは何をしたいのか?
     ・価値(Values) 私たちは何を重んじるのか?
     ・メソッド(Methods) どのように行うのか?
     ・障害(Obstacles) 何が障害となりうるのか?
     ・基準(Measures) 成功をどう評価するのか?

 

(4)V2MOMについて

  • ●社風の良い会社とは何か?
  •  ・成長を感じられる
     ・認めてもらえる
     ・貢献を実感できる

  • ●成長を加速させるやり方とは?
  •  ・やる気 向上心
     ・スピード 学習速度
     ・情報共有 経験値

  • ●会社への安心感や情報が必要。その為に「つながる」「認める」「支える」が重要である。そのためにテクノロジーの有効活用が必要。
  • ●1:1:1モデル(1%の時価総額、1%の時間、1%のプロダクトを地域社会に提供)は次の4つの良い効果がある。
  •  1)会社イメージの向上
     2)社員の意欲向上
     3)ミレニアル新世代からの共感
     4)業績への貢献
     社会貢献活動を通して社員が輝く場所をつくる。

  • ●V2MOMの活用。目標管理制度に落とし込んでいる。
  •  ・ビジョン(Vision) 私たちは何をしたいのか?
     ・価値(Values) 私たちは何を重んじるのか?
     ・メソッド(Methods) どのように行うのか?
     ・障害(Obstacles) 何が障害となりうるのか?
     ・基準(Measures) 成功をどう評価するのか?

    <落とし込み例>
     V:セールスフォースの地方への普及
     V:カスタマー・サクセス
     M:パートナーとのアライアンスで推進
     O:地方における知名度の低さ
     M:イベントの実施回数、新規開拓の受注率など数字で追えるもの

  • ●頭で考えるのではなく、細胞に覚え込ませることが必要。

 

(5)ザ・モデル/セールスイネーブルメントについて

  • ●セールスイネーブルメントとは、営業の成果を高めるために提供するテクノロジーを活用したサービスである。セールスイネーブルメントの結果、セールスフォースでは年30%の継続成長を実現した。
  • ●セールスイネーブルメントの結果、続々入ってくる営業の育成が行える。従来は半年かかっていた育成を4ケ月で行える様になった。
  • ●ザ・モデルとは、セールスイネーブルメントを実現するプロセスである。
  • ●営業と人材育成データと紐づかせている。営業を育成する上で3つの手段がある。
  • <落とし込み例>
     1)トレーニング
     2)コーチング
     3)ナレッジマネジメント

 


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