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実況中継 1

先端町工場視察セミナー2016 in 東海

片山 和也

片山 和也

更新日:2016.03.15

2016年3月9日(木) このセミナーについて>>
国内で生き残る 先端「町工場」視察セミナー in 東海

ファクトリービジネス研究会 部品加工業経営部会で行われる、年2回のイベント、国内で生き残る先端「町工場」視察セミナーを開催いたしました。当日はお足下が悪い中、多くの方々にお集まり頂き、本視察セミナーでは初めてのバス2台でのセミナー開催となりました。当日は、JR岐阜羽島駅に集合し、バス2台を貸し切って、3社の先端「町工場」を視察いたしました。遠方での開催となりましたが、全国各地から多数の経営者様にご参加頂き、総勢66名となりました。

それでは、早速、実況レポートに移らせて頂きます。

視察1社目の企業様は、岐阜県美濃市にある有限会社シオンです。午前9時30分に岐阜羽島駅をバス2台で出発し、同社に向かいました。有限会社シオンの山田社長には、岐阜羽島駅までお越し頂き、移動中の車内にて自社の説明を行って頂きました。また、3年前に優勝された全国コマ大戦に関するドキュメンタリー動画の放映も併せていたしました。
有限会社シオンの見所は従業員数わずか10名の町工場ながら、独自の人材教育により多能工化を実現している点です。また、「第2回全日本製造業コマ大戦」で優勝するなど、同社の高い技術力が表れています。複合加工機等、時流に合った設備を活用しながら、少量多品種への生産体制・品質保証体制を構築し、大手の加工業が対応しにくい少人数の町工場独自のビジネスモデルを作りあげているとお話をさせて頂きました。

シオン様に到着後は、4つの班に分かれて工場内を見学させて頂きました。入口には、コマ大戦で使用した『ZION』や自社ブランド『NEIGHBOR』の製品が並べられており、デザインなど製品開発に関するお話をお聞きしました。また、多能工育成の一環として社員の方の氏名が記載されたBOXがあり、検査不良、客先不良にかかわらず、不良品は山田社長からそのBOXに戻され、会議での原因追究など社員一人ひとりが責任を持って、加工に取り組まれています。
工場見学を行った後は、美濃和紙の里会館に移動し、山田社長よりご講演頂きました。

講演では山田社長にはご自身の経歴と共に、社内で取り組まれている人材育成の活動や自社での取り組みとして新たに進められている自社ブランド『NEIGHBOR』の立ち上げ経緯についてお話頂き、会社全体で新たな取組みを行うことで、社員の意識の向上はもちろん技術力の向上にもつなげる事ができている点などをお伺いすることができました。
講演後、2社目の視察先までの道中はバスの中で質疑応答の時間となりました。

シオン様で実施されている人材育成の取り組みについて、参加者の皆様はとても興味をお持ちで、経営理念という視点から山田社長がどのようにお考えか、その考えの下で何を実行したのかという事例についてお話を頂き、大きな盛り上がりの中、1社目の視察を終了しました。
2社目の視察先は、岐阜県大垣市に本社を構える大垣精工株式会社でした。

同社は日本のプレス加工の御三家の1社として、ナノオーダーの位置決め精度が必要なHDDの磁気ヘッド部品や触媒用のハニカム金型など、世界でも数社しかつくることのできない超精密金型の設計・製作と、金型技術を活かしたプレス加工を行っています。

まずは、大垣精工株式会社の輪之内工場、ならびに関連グループ会社である株式会社セイコーハイテックの工場視察を行いました。

輪之内工場では主にハイブリッド車やEV車に使用されるリレー部品の製造を行っています。事故の際に瞬時に電気を遮断する役割を持つ重要保安部品であるため、一時期は中国で製造されていたこともあったようですが、精度と信頼性を考慮し、日本国内での製造に戻したという経緯もあるというお話も伺いました。

そして、株式会社セイコーハイテックでは、自動車部品の製造を主に行っています。大垣精工株式会社で製作された金型も使用し、トランスファープレスと呼ばれる、搬送を行いながら絞り成形を行うプレス方式が同社の生産ラインにおける大きな特徴です。

工場見学の後は、大垣精工株式会社の本社に移動し、上田社長にご講演頂きました。

同社は、創業48年。もともと別会社にて金型の製作を行っていた上田社長が脱サラをし、設立した会社です。同社では他社には真似のできない金型製作技術を持っていますが、金型では量産のメリットを享受できないことから自社の金型を活用したプレス加工業も行うという隣接事業への展開も行っています。また、隣接事業を行うにあたって地政学に基づいた新工場の立地戦略などのお話も頂きました。

講演後の質疑応答では、「製造の90%は機械でできるが、10%は人の持つ技術によるものである」という話からエンジニアの人財育成の方法などについて質疑応答が行われ、大きな盛り上がりの中、2社目の視察を終了しました。

3社目の視察先は、岐阜県海津市に本社を構える株式会社伊藤精密製作所でした。

同社は、精密切削加工から製品組立までの一貫生産体制を構築する中で、無人化による24時間稼動という究極の効率生産を目指しており、その過程では自動供給機やロボットシステムなど、生産ラインを省力化あるいは省人化するFAシステムの自社開発を行っています。

また培われた技術力を活かして、製品と製品が接触することによるダコンやキズを防ぎ安心して収納・蓄積できるオリジナルブランドの製品蓄積収納装置『ダコンアイシン』を開発・製造・販売を行うメーカーの一面もあり、徹底的に合理化された生産ラインの構築で他社との差別化を実現する『日本を代表する量産機械加工』のモデル工場です。

株式会社伊藤精密製作所に到着後、最初に工場視察を行いました。

工場では主に自動車部品、住宅設備部品、通信機器部品、スポーツ・レジャー部品の製造を行っています。同社では、高精度部品な部品を量産で製作するため、高い生産性を追及しています。

同社では、ダコンアンシンを作った技術部の社員達が、更なる生産性向上を目指してロボットの活用にチャレンジしています。現在では、ロボットを10台~15台保有しており、ロボットを活用して24時間稼動を実現しています。ロボットを活用するために必要な、「ティーチング」や「制御」を全て社内で行うことができます。また、複数の製品の「搬送・分別・検査」が可能となるFA機器を大手メーカーと共同開発も行っています。

工場見学を行った後は、伊藤社長にご講演頂きました。

同社には部品加工事業とエムエステック事業の2つの事業部があります。部品加工事業は全体の売上の8割であり、世界一の下請け企業を目指しています。また、部品加工事業を強化するにはFA装置を内製する必要があるため、エムエステック事業部を立上げて、これら2つの事業を同時に推し進めることによって国内に残る量産加工会社を目指しています。
同社の今後の方向性としては、自動車の「環境対策部品」と「ターボチャージャー」に注力していくというお話も頂き、大きな盛り上がりの中、3社目の視察を終了しました。

最後に、株式会社伊藤精密製作所から岐阜羽島駅までの道中は、片山より、製造業を取り巻く状況についてご説明させて頂きました。

今、製造業はバブルの状態に近く、特に忙しい仕事として、「IoT・ビッグデータ・クラウド」と「次世代自動車」に関する2つがあり、製造業にとって、業績を上げるために最も重要なことは「業績が良い企業」と取引することです。また、大手企業の新たな意向として調達先の数を減らす可能性があります。世界最大のメーカーであるアップルの調達先が250社であることから、ソニーなどの日本の大手企業もそれに倣う動きがあります。ソニーの調達先は現在3,000社程度ありますが、今後は「2,000社⇒1,000社⇒500社」と段階的に数を減らしていき、最終的に250社まで絞るという具体的な話も出ていることもお伝えしました。

町工場の中でも、特に成功を収められている企業様を実際に訪問し、その過程、課題、経営者の理念を直に聞くことによって、今後取り組むべき課題・対策など、ご参加された経営者の皆様は感じられたことが多くあったのではないでしょうか。

本日の視察セミナーが参加者の皆様のお役に立てることを願っております。

本日は誠にありがとうございました。次回、2016年9月に実施されます視察セミナーへのご参加もお待ちしております。


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