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実況中継 1

【開催レポート】 試作加工業 特定顧客・特定業界「依存脱却」セミナー (No.315184)

片山 和也

片山 和也

更新日:2015.03.20

『試作加工業 特定顧客・特定業界「依存脱却」セミナー』が株式会社船井総合研究所の東京本社にて開催されました。
遠方からお忙しい中、多数の試作加工業の経営者様にお集まりいただきました。
株式会社船井総合研究所の大橋よりイントロダクション「試作加工業が抱える悩みと、我々を取り巻く環境」についてお話させていただきました。大橋がイントロダクションのパートで話した内容の一部を下記にご紹介します。(以下、大橋の講演内容抜粋)
「試作加工業が抱える悩みと、我々を取り巻く環境」について、以下の7点を詳しくご説明させていただきました。①多くの試作加工業が、特定顧客・特定業種に売上を大きく依存している。②営業に行こうにも、経営者など限られた人しかできない、もしくは、忙しくて現場の手が放せない。③新規顧客を開拓しようにも、アプローチする方法が分からない。④自社に合う仕事がある顧客が、近隣にない。どこにあるか分からない。⑤本質的に、顧客がどういったことを求めているかが不明確である。(Q・C・D以外の観点で)⑥小規模な試作加工業は特に、人の手による作業が多く、キャパに限界がある。⑥昨今は、全国的に多くの試作加工業は忙しい状態になっている。⑦ただ、忙しくても儲からない状態になっている試作加工業が多いが、 競合他社が「忙しい」と目の前の仕事に躍起になっているときに今こそ将来の布石を打っていくことが求められている。
大橋が上記7点を述べた後、本日のゲスト、有限会社スワニーの橋爪社長の紹介をしてイントロダクションは終了しました。

続きまして、橋爪社長のご講演、第1講座が始まります。テーマは、『有限会社スワニーの取組み 』と題しまして、5年間で顧客数を15倍に伸ばして急成長している試作加工業、有限会社スワニーの代表取締役社長/橋爪良博氏にゲスト講師としてご講演していただきました。(以下:橋爪社長の講演内容抜粋)
スワニーは、もともとモーターやコンデンサなどの弱電部品の加工をしており、ピークの時は従業員80名に達する会社でしたが、取引先の生産拠点が海外に移り売上が激減していきました。2010年に橋爪社長が就任し、設計事業を強化して、現在は3Dプリンタを駆使してアイデアを迅速に形に変えることができる技術者と最新ツールが集まった製品設計会社となっています。
今スワニーにいる技術者のほとんどは設計未経験者として入社してきました。設計を知らない若手の社員を戦力化するために必要なのは、失敗できる環境を作ることです。その点、3Dプリンタは「設計したものを三次元で具現化ができ、目で見て触って失敗を経験することができる」素晴らしいツールです。
スワニーがある伊那市は交通の便が悪く、非常に不利な地域で設計開発業務を行なっているため、自社から情報発信を行なっていく必要がありました。そこで、独自商品の開発、コマ大戦の出場、完全地産プロジェクトなど、メディアを活用した情報発信と橋爪社長による講演活動を積極的に行なうようにしていきました。スワニーでは仕事を「本業80%、事づくり20%」に分けており、既存の仕事だけをするのでなく、常に新しい仕事を創出していく文化があります。
最後に、スワニーが考える設計力とは「提案力+実現力」だといいます。失敗できる環境とお客様へのサプライズを最も大切にしており、取引先も2010年10月時点の2社から現在は300社となりました。スワニーのビジョンは未来をきりひらくことができる設計技術集団になることです。橋爪社長様の講演は大きな拍手と共に終了しました。

第2講座のテーマは、「試作加工業が特定顧客・特定業界から脱却するために、いますぐ取り組むべきこと 」と題しまして、株式会社船井総合研究所の大橋よりお伝えいたしました。まず初めに、特定顧客・特定業界に依存することで生じるメリットとデメリットについてご説明しました。 次に、試作加工業界で生じていることとして「技術的な差別化が困難、価格競争、デザイン込みの仕事の増加、設計事務所による加工への進出」について解説させていただきました。その中で、有限会社スワニー様が行ったことについて客観的にお伝えさせていただきました。スワニー様は、①自社のPRを強化。②設計から試作加工、金型製作、一部量産まで一貫対応。③関連する業種とのアライアンスを強化。④価格競争からの脱却。⑤自社製品の開発、新技術の提案 独自路線化。以上の5点を踏まえて新規顧客開拓を実施し、結果は顧客数15倍となりました。これを踏まえて、試作加工業が行うべきこととして、5点 ①優良中堅・大手企業を狙う。②自社の対応工程を広げる。③タッグを組める相手とアライアンスを組む。④価値を訴求する。⑤プル型営業の仕組み構築する。について、詳しくお伝えさせていただきました。スワニー様の講演でもお話がありましたが、プッシュ型で営業しても受注することは大変難しいです。
特定顧客・特定業界からの脱却のためには、『マーケティングの自動化→新規顧客開拓→特定顧客・特定業界依存脱却→儲かる仕事への導線づくり』が必要です。そのためには、「WEB、技術セミナー、クロスメディア、展示会、アライアンス」の要素を元に緻密に戦略立て、案件を獲得するPULL型の仕組みを構築することが重要となります。また、実際に引合いを獲得後、営業ツールとしてVA・VE技術ハンドブックを用いることで、中堅・大手優良企業の設計段階から仕事を撮るために必要な“自社の価値”を訴求することができます。
当講座のまとめとして、『製造業にとって追い風の今だからこそ、特定顧客・特定業界の依存脱却が必要。経営者のあなたのみが現状を変えられる』とお伝えしました。当講座から学んだことを自社で即時に実践していただきたいと思います。

第3講座のテーマは、「本日のまとめ」と題しまして株式会社船井総合研究所の片山よりお送りしました。
片山は初めに、「加工業の経営者が押さえておくべき4つ真実」として、①加工業は付き合う顧客で生産性が決まる。②現場任せの合理化ではもう限界。③売り込むと売れない。④現在はバブル。についてお伝えさせていただきました。
現在、儲かっている町工場は生産性が高いことが特徴的です。そのような町工場の共通点は、「取引先が儲かっていること」が挙げられます。
業績を上げるポイントはグループテクノロジー(GT)とPULL型営業を行うことです。グループテクノロジーとは、多品種少量生産している工場でも、各部品をいくつかのグループに分けることです。グループテクノロジー(GT)によってグループに分けることで、まとまった数で生産することが可能となりコストダウンとなります。また、内製する仕事と外注する仕事を分けて、ガイドラインを作ることも必要です。内製した方が儲かるというのは、不変の原理ですが、今の時代の流れは『言われたことは何でも受けて、内製するものを選択して内製する』ことが重要です。
注意しなければならないポイントとして、売り込むと売れないという真実があります。新規獲得を行なうには、加工業の場合、前の講座で大橋が説明したような設計・開発部門を対象としたPULL型営業の仕組みを作ることが重要です。
今、経営者が考えておく3つのことは、①大不況対策、②デフレ対策、③人材対策となります。
大不況対策は、「商圏の拡大」と「優良中堅・大手グローバル企業(上場会社クラスユーザー)の攻略」です。中小企業は、海外に行かずとも国内の商圏を拡大することで売上は拡大できます。デフレ対策は、「価値を売ること」と「前後のサプライチェーンを取り込むこと」です。「価値を売ること」というのは、BtoCの場合は「体験を売る」、BtoBの場合は「顧客代行を行う」、つまりVA・VE提案を行なうことです。
人材対策は「採用」と「教育」です。採用に関して、中小企業を受ける人と大手企業を受ける人は、全くの別物です。中小企業の経営者が人を採れないのは、採用に熱心な中小企業に採られているからです。「ゆとり世代」の若者たちが、入社してきていますが、彼らといかに付き合い、教育し、戦力化していくかがポイントです。
最後に、社内をどうまとめるか?について、「①幹部の考え方を変える、②幹部を変える、③外部の人間を活用して社内に刺激を与える」以上の3点をお伝えし、参加者の皆様の大きな拍手と共にセミナーは終了しました。
本日のセミナー内容が、試作加工業様の特定顧客・特定業界からの脱却のお役に立てることを願っております。
誠に有難うございました。


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