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実況中継 1

【開催レポート】国内で生き残る 先端「町工場」視察セミナー in 東京

片山 和也

片山 和也

更新日:2016.11.28


2016年11月11日(金) このセミナーについて>>

 ファクトリービジネス研究会 部品加工業経営部会で行われる、年2回のイベント、国内で生き残る先端「町工場」視察セミナーを開催いたしました。今回は八王子での開催となりましたが、関西圏のお客様も多く全国各地より40名様という経営者様にお集まり頂き、JR新横浜駅より貸し切りバス2台での視察セミナー開催となりました。
 
 それでは、実況レポートに移らせて頂きます。
 
 視察1社目の企業様は、株式会社内野製作所です。同社は、大手自動車メーカーの研究・開発部門を主要顧客とする、精密歯車の試作メーカーです。ここ15年間で年商が4.5億円(社員25名)から年商26億円(社員68名)に急成長しています。同社がこのような大きな転換を迎えた要因としては、本田技研がF1事業から撤退したことがあげられます。それまでは本田技研が売上のほぼ100%だったのですが、この出来事によりその他の自動車メーカーとも取引できるよう本田技研に頼み込んだと言います。それ以来、研究開発型の町工場として大手自動車メーカーなどを支えています。
 

内野製作所 工場外観

山田部長によるプレゼンテーション

 
株式会社内野製作所に到着後、会社説明を15分ほどしていただき、工場視察を行いました。
ご講演の中では、これまでの会社の成り立ちに加え、教育体制についてお聞きしました。現在の顧客が研究・開発部門であることから、技術力向上を目的に社員教育を強化されており、教育・研修費に年間300万円~500万円を注ぎ込み、毎月およそ2人は研修に行って技能レベルの向上を図られています。また、60歳を超えて自社を定年退職した技術者の再雇用も行っており、若手に対して技術伝承を行い、技術力の維持・工場をされているそうです。
工場見学では、同社の充実した社内設備と海外の工場と同様の自然を活かした工場設計が目を引きました。天窓による自然採光や大きな窓による自然換気が特徴的で、社内食堂などの充実した福利厚生と海外製の複合旋盤加工機等、充実した設備を整えており、国内の歯車試作工場ではNo1と言える非常に充実した職場環境であると言えます。「製造でいかに付加価値を上げるか」を重要視している点が設備投資の状況からも明確に伝わってきました。
  
2社目に訪問した企業は(株)栄鋳造所です。Vプロセス工法と呼ばれる精密鋳造技術を武器に、切削加工から鋳物への工法転換技術を売りにされ、その特徴を活かしたパイプ鋳込み技術により、温調プレート・ヒータープレートといった自社商品を開発しています。海外へのPRも熱心であり、同社のホームページは英語・ドイツ語・イタリア語・ロシア語・韓国語にも対応し、今年の末にはアメリカに現地法人を設立する予定となっています。また、経営産業省による「ダイバーシティ経営企業100選」に選ばれる等、今、注目を集める町工場です。
 

電気配線事業を始め、障碍者雇用を推進

Vプロセスで使用する砂型

 
工場視察からスタートしました。Vプロセスの工程を中心に型製作の工程、追加工を行うマシニングセンタ工程、検査工程等を見学し、中でも目を引いたのは電気配線等を行う事業で、外国人雇用を推進してきた同社では、自治体との協力のもと、障碍者雇用に向けた取り組みを始めているとのことで、事業展開だけでなく、社会貢献の立場にも立った取組みをされています。
 
場所を移した後のセミナーでは、「ダイバーシティ経営戦略」というテーマでご講演をいただきました。講演内では、経営戦略に至った経緯から、現在のアメリカ・シリコンバレー等での取り組みまでの変遷を中心にお話しをいただきました。特に海外進出という視点に立った場合の日本企業のマーケティングにおける問題点や現在のアメリカの動き等、前日まで渡米されていた生のお話しをお聞きすることができ、中小企業がグローバルに展開するための条件やオートメーション化の潮流における人材、また、ボーダレスヒューマンリソース(移民問題、テロ、後進国の躍進)の考えに基づくグローバルな視点に立ったお話しをお聞きすることができました。
 
 そして、3社目の訪問は株式会社アトム精密です。同社は創業当初、オーディオ機器(CDデッキ)の量産工場であり、一度は売上200億円まで成長しました。しかし、親会社の海外生産への移管により仕事の大半が消滅してしまいました。しかし、「Noと言わないものづくり」を理念とし、事業存続の危機に直面しても自社の生産技術を活かし、「搬送」「検査」「洗浄」に絞ることでセットメーカーとして起死回生の復活を果たしました。今期は、営業利益率15%を目指し、ピーク時の利益額に近づく見込みであり、高付加価値「提案型」町工場へ変身した企業です。
 まずは上記の栄鋳造所様と同じく、工場見学を実施しました。
 

組立風景

設計風景

 
アトム精密では、自社の根幹となる設計部門に多くの人数を投入しており、視察当日もパソコンが8台ある中で、今後製作する搬送装置のシミュレーションを行っていました。また、海外向け活動・地域貢献の一環としてインターン生の受け入れをされており、この時期がインターンの終盤であったことから卒業発表用の装置を開発されていました。インターン期間中は、学生の実績として形になるように装置の設計・加工・組立までを経験できるようにカリキュラムを組んでいるそうです。
 その後、場所を移し、アトム精密の一瀬社長より『アトム精密の取り組み』と題してご講演を頂きました。一瀬社長は第3者事業承継という立場で、事業承継後10年で、現在の事業へと転換・会社の立て直しを図られました。10年前は、会社全体で赤字続きの状態でありましたが、産業用機械の設計・組立・据付を事業として開始したことで、直近の3-4年は黒字化を達成しています。また、新たな取り組みとして少子高齢化に対応できる企業づくりを推進されています。この取組は、八王子近隣の若年層が、都会に出て行ってしまうことから、企業としての存続を考える上で環境への対応を検討することが重要であると考えられ、始められました。その過程で、戦略的外国人の雇用。(優秀な外国人の発掘。)・女性の活用・インターンシップ生の受入・他地域の連携等の様々な切り口で活動をされました。
最後には、アトム精密の今後として、雇用問題にも対応しながら、装置産業が迎えるAIの推進・ロボット化への対応・農業分野への作業用ロボットの導入による新規開拓等を進めていきたいということもお伺いすることができました。
 
今回視察を行った、3社も含め、町工場の中でも、特に成功を収められている企業様を実際に訪問し、その過程、課題、経営者の理念を直に聞くことによって、今後取り組むべき課題・対策など、ご参加された経営者の皆様は感じられたことが多くあったのではないでしょうか。
 
視察セミナーが参加者の皆様のお役に立てることを願っております。
誠にありがとうございました。


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