船井総研「部品加工業」経営FAXレター

2015年11月の市況~先端「町工場」視察セミナーin長野より~

片山 和也
更新日:2015.12.07

11月13日は、年に2回実施される先端「町工場」視察セミナーin長野。毎回キャンセル待ちのでる人気セミナーで、今回も定員の約40名の皆様と視察を行いました。視察1社目の株式会社西山精密板金様は従業員26名の精密板金加工業ながら、営業利益率18%という高収益企業。リーマン・ショック前は特定企業に売上の9割以上を依存していましたが、現在は120社以上の取引先を持ち、月間5000件の見積り、2500件の製作をこなしています。高収益の秘密は、ダイレスフォーミング(型レス板金)という工法変換技術にあり、利益の2割は、ダイレスフォーミングが稼ぎ出しているといいます。社会貢献にも取組んでおり、社員に支給したボーナスの平均額を、“外部の27人目の社員”ということで、寄付に回されています。3年先から100年先までの目標・ビジョンをつくっており、3年後には32%の利益率を出すことが目標です。船井総研の視察を受け入れていただく為にセミナールームを新設していただき、心から御礼申し上げる次第です。

視察2社目は有限会社スワニー。従業員12名。3Dモデリング技術を駆使した商品設計・開発業務から、試作、量産化、自社商品の企画・製造・販売を行っています。2010年に現社長の橋爪 良博 氏が二代目社長に就任。一時期は数十名いた社員が、取引先の海外移転のために3名にまで減少していましたが、その後の取組みで売上は15倍、取引先は300社にまで増えています。同社の独自技術の1つはデジタルモールドで3Dプリンタで型をつくり、その型で射出成型加工あるいはプレス加工を行う、というものです。デジタルモールドによる射出成型のメリットは、試作段階で量産と同じ樹脂を射出成型で試すことができ、かつ型コストを大幅に下げることができることです。3Dプリンタで製作した樹脂の型とはいえ、100ショットから数百ショットの加工に耐えることができます。またプレス加工も金属の金型と比較して、低コスト、短納期、傷がつかない、油を使わない、など利便性が多い上に、金型に引けを取らないシャープエッジも実現できることです。また、フェイスブックの“いいね”手当という、ユニークな方法で社員のモチベーションアップにも取組んでいて、社内の加工設備が空いている時は、社員が自由に使ってよいことになっており、そこで製作した作品を自社のフェイスブックにアップ、“いいね”が1件獲得できたら100円を支給する、というものです。社会貢献・地域貢献にも力を入れられていて、地元の伊那市駅前の商店街活性化のため、社会福祉協議会と連携して、商店街の空いたテナントに内職スペースをつくり、同社が受注した製品を、ここで組み立てています。現在は80名の家内労働者(=同社ではキャストと呼んでいる)が登録しており、社員同様に大切に対応されています。

今回この2社を視察して、両社に共通することとして次の5つのポイントを挙げることができます。1)ピンチをチャンスに変えた:両社とも、リーマン・ショックで致命的なダメージを受けながら、その後の改革で抜本的な改善を図り、高収益企業に生まれ変わりました。 2)客数が多い:言い換えれば「主導権」を取っている、ということです。3)独自技術を持っている:現在の様なデフレ時代の抜本対策は研究開発であり、独自技術です。 4)社員が働き甲斐のある職場づくりに力を入れている:真の顧客満足(=CS)のためには、社員満足(=ES)が必須です。 5)社会貢献に取組んでいる:まさに三方良しの経営、ということができます。今回の視察セミナーも、大いに学ぶところがありました。モデル企業を実際にこの目で見ることに勝るものはありません。今回の視察を受け入れていただいた両社、またご参加いただいた数多くの皆様に心より御礼申し上げます。



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