船井総研「部品加工業」経営FAXレター

最新!海外の成功事例~米国業界誌 The Fabricatorより 製缶加工におけるIoT~

山崎 悠
更新日:2016.02.24

IoTという言葉が昨年よりブームですが、実際のところ各部品加工業の現場においては何が変わるのか、ということを今回は溶接加工を例に取り上げます。製缶加工業におけるIoT活用の根幹は、溶接・機械加工のデータがインターネットを介して蓄積され、データと様々な機械、ロボット、デバイスがつながることにあります。多様な形状、材質に対する溶接のデータが蓄積すればするほど、CAMをはじめとしたソフトフェアが進化すればするほど、熟練作業者が行ってきた作業は自動化されていきます。ここで、「溶接ロボットは確かに大きく普及しているが、小ロット、あるいは一品一様の製品の加工は熟練溶接工の方が早く、安く溶接を行うことができるから、ロボットは競合しない」という意見が多く聞かれます。これは現時点では一部正しく、恐らく、極小ロット、一品一様の部品を製作するような業態では、今後10年といった範囲で現在の仕事がロボットに奪われるといったことはないでしょう。

しかし、以下2つの理由から溶接に関するIoT技術は注視が必要であると考えられます。一つ目の理由として、米国で顕著ですが、特に大手企業と直接取引をしている製缶加工会社は顧客の製品生産の全体管理システム(PLM)と連携し、加工データをPLMに集積することを求められるケースが今後増えていくと予想されるからです。品質の安定、トレーサビリティのために否応なく対応しなければなりません。もう一つは、おそらく更に重要ですが、大手企業を中心にロット品の溶接自動化が進む一方で、一品物の溶接を「人がやるから」といって高いチャージを取り続けることができるかという点です。全国的には溶接工のチャージは3500~4000円前後が主流ですが、大手企業の溶接加工のチャージが下がり続ける中、中小企業が今後この水準で仕事を取り続けることができるかどうかは分かりません。過去そうであったからといって、10年後もそうである保証はありません。オートメーションにおける原則は、定型作業(決まりきった作業)の自動化にあるからです。IoTブームの今こそ、冷静に技術革新を観察することが重要です。



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