船井総研「部品加工業」経営FAXレター

最新!海外の成功事例(海外誌:Metalforming Magazineより)~高付加価値品を手掛ける会社ほど要注意!AM技術の普及~

山崎 悠
更新日:2015.12.07

3Dプリンタに代表されるAdditive Manufacturing(AM)は、材料に対して除去加工や塑性加工を施すことなく、
製品を製造する技術の総称です。「3Dプリンタ」として有名になったこのAM技術ですが、大別するとこの技術のもたらすものは、「これまで製作不可能だった形状の製品が製作可能となる」という点と、製品によっては「単品・小ロット製品の生産コスト・リードタイムが劇的に改善される」という2点です。
 今月に実施した船井総研の先端町工場視察ツアーでは、3Dプリンターを用いてプラスチック製の樹脂成形金型を製作する会社にも訪問しました。ご承知の通り、樹脂成形品は高い金型費用というイニシャルコストと、金型製作のために長いリードタイムが掛かります。世界を見渡しても、未だ採用事例は先進的な企業に限られるようですが、今後プレス・板金業界や樹脂成形業界等、製作コストが高く、リードタイムが長い金型を用いる業界には激変が起こる可能性があります。

 特に最近のAM技術のメインテーマは、材料のバラエティをどう増やすか、複雑構造の成形をどう実現するか、という2点です。つまり、既存加工技術で実現できている分野を対応材料を増やすことによりどうAM技術の範囲に取り込んでいくかという点と、他の加工技術が追随できない構造を、どのような精度・材料で実現していくか、ということです。

 金属のAM技術については、1つ大きなパターンが定まったように見えます。金属のAM技術はほぼ全てが例外なく
金属粉末を何らかの形で溶融や焼結させることで成形を行いますが、密度や強度はソリッドの金属材料と比較して劣る傾向にあります。しかしこの弱点はAM技術の強みである複雑形状の活用で補われ、実際の採用が加速しています。

金属粉末同士の結合の弱さはミクロで見ると大きな課題ですが、現在この課題は3次元の微細複雑構造(ハニカム)等、他の加工方法では実現が不可能なストラクチャーを実現することにより、マクロで解決されるようになりました。強度を保ちながらの軽量化という大きなメリットを携えて。

 一方で材料となる金属粉末は概して高価であり、現在市場に存在する金属部品の2割、3割といった領域が
AM技術に侵食されることは恐らくあり得ません。しかし一部のハイスペック品、特に既存加工技術で極めて高い付加価値を出しているような機能部品は、プレス金型や小ロット樹脂成形金型等の同様に、AM技術の活用による大幅なスペックアップ、コストダウンにより一気に代替が進む可能性があります。この領域を専門にする、あるいは目指しているプレイヤーはAM技術に対して相当の注視を要する段階に入っていることは間違いありません。



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