船井総研「部品加工業」経営FAXレター

今月の最新技術~IMTSに見る欧米機械メーカーの動向~

山崎 悠
更新日:2016.10.28

 9月に開催されたIMTS(International Manufacturing Technology Show)はシカゴショーとも呼ばれ、
JIMTOFと毎年同じ年に隔年で開催される工作機械、生産設備関連の3大展示会のひとつです。
 ドイツをはじめ、欧米系の設備メーカーはJIMTOFよりもIMTSに出る、というケースも多いため、情報収集の観点からはある意味JIMTOFよりも重要な展示会です。 IMTSについてのレビューのトピックとしては、お馴染みの「AM技術」や「加工機とロボットを組み合わせたCoBOT」、「UXの進化」が挙げられていますが、他にそれぞれのユーザーが抱える細かな問題解決の場としての性質が強くなっているという指摘があります。
 この「細かな問題」のひとつの例として、航空機のタービンブレードがあります。この加工には多数の自由曲面を有する部品であり、機械加工の後に研削、研磨加工を施す必要があります。一般に日本国内では、安価な専用の各種加工設備を並べて工程を分割、加工しているケースが多い部品です。工程分割かあるいは工程集約か、という観点は量産品の場合判断が分かれますが、欧米国内で加工する場合は、ほぼ間違いなく工程集約の方向へ向かっています。今回のIMTSに合わせて、スイス Starrag社は複合加工機の新モデルをラインナップしました。そして、主要アプリケーションとして「dengeln加工」によるタービンブレードの工程集約を謳っています。このdengelnは直訳するとピーニング加工となりますが、この新モデル複合加工機械は研削・研磨・ピーニング加工レスを実現しながら、仕上げ加工までを1台で完結させる複合加工機です。また、アプリケーションのひとつとして金型の手ミガキ工程レスも謳われています。このアプリケーションはマニアックであり、日本ではあまり見ることがない機械コンセプトです。 
 タイに工場を持つある自動車部品加工会社の社長によると、現在はタイとドイツでの量産生産コストは、部品によっては10%も差が出ないといいます。ドイツ国内の競合企業は、スイス製やドイツ製の高生産性を持つ機械で加工を行っており、既に人件費や工場面積の差が価格優位性に繋がらなくなってきています。欧米メーカーの加工機械はJIMTOFでは商社のみが出展していることが多いですが、国内の部品加工企業も積極的に情報を集めたい領域です。



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