船井総研「部品加工業」経営FAXレター

今月の最新技術
~ IoTを活用したバーチャル加工工場 ~

山崎 悠
更新日:2017.02.02

過去20年間の中で、部品加工業の業務や顧客との関係性を最も大きく変えた技術はインターネットでしょう。FAXや電話しか連絡手段がなく、新規開拓のチャネルも展示会や商談会しかなかった時代と比べ、インターネットは部品加工業の生産性や業態まで大きく変えました。その中でインターネットを活用した製造ビジネスが出てくるのは当然で、オンラインでデータ入稿すれば即時に見積が出たり、ネット上のやり取りのみで特注部品の製作する会社も珍しくなくなりました。一方で、受託型加工業での価格決定要因の大きな一つには、自社設備の加工負荷があります。加工設備・人員が不足していれば必然的に価格も高くなります。そこでオンデマンドで製作サービスを行う会社は、ボリュームのある切削加工等については多くの加工機を並べ、常に同じような価格で製作ができるようにしていることが珍しくありません。いま米国で注目を集めている会社は、加工能力を内製ではなく外部に求めました。この会社が取っているやり方は、顧客とのやり取りや提案は自社が行いハイクラスの部品以外の製作は、ネットワークで繋がれた他の町工場の遊休設備を使って行うモデルです。概念自体は珍しくなく、属人的には日本でもやっている企業は多いですが、そこは米国で、アプリからシステムまでスケールが大きくなっています。依頼を行う際はCADデータを入稿しますが、その後入稿後にCADデータが分析され、必要な加工要素・加工設備が自動ではじき出されます。その後彼らのパートナー企業で、適切な実績、設備があり、遊休設備がある会社へと案件が振り分けられ製作が行われます。しかしこれで製作・納品されて終わりではなく、後から発注者からのフィードバックが入ります。「品質は適当であったか」「納期は適切か」「価格に満足しているか」といった観点で入ったフィードバックを元に、加工品の振り分け先の適正化や対応面での格付けが適正化されていきます。また発注者はモバイル端末のアプリ経由で加工状況を随時確認することが可能となっています。私が知る限り、日本で同レベルで事業を行っている会社はありません。このビジネスが成り立つようになったのは、インターネットとモバイル端末、各種IoT端末の普及によるものです(パートナー企業側のITインフラ、リテラシーには期待できないこともあるが、モバイル端末はほぼ全員が持っているため)。製造業は今後もより流動的に、効率的に変化していくと思われます。上記のようにボリュームゾーンを狙い、ポジショニングで稼ぐというやり方か、あるいは顧客から選ばれ続けるサービス、技術を磨くことがより重要となるでしょう。



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