船井総研「部品加工業」経営FAXレター

今月の最新技術
~ 現実化する3Dプリンター生産 ~

山崎 悠
更新日:2017.05.26

先月GEは金属3Dプリンターについて一つのレポートを出しました。3Dプリンターを使った航空機エンジン部品の生産についてです。GEが3Dプリンターを使い始めたのは10年前、適用検討部品はエンジン周りの中でももっとも複雑、高付加価値な燃料噴射ノズル部品でした。従来、ノズルは部品を分割し、鋳造によって製作していたものの工程が複雑、かつロウ付けのミスが頻発し、極めて高コストになっていたといいます。しかし金属3Dプリンターでこの状況は一変、従来の鋳造品に比べ、30%近くの軽量化、20個の部品を一体成形が可能に、そして耐久性は4~5倍に跳ね上がったそうです。この結果から、エンジン部品全体に3Dプリンターの適用を検討したときの試算は、従来品からの40%軽量化、そして60%以上安い製造コストでした。このとき、GEは3Dプリンタービジネスへの参入、社内への全面展開をCEOのジェフ・イメルト自ら即決したと言います。部品点数の削減はコストダウンに大きな効果をもたらすことはよく知られていますが、20以上の部品を1体化するといった内容は、従来では考えられない効果をもたらします。実際に従来15近くのサプライヤーを用いて製作していた部品が、1つの工場で生産完了するようになりました。昨年GEは金属3Dプリンターで有名な北欧のアーカム社とドイツのコンセプトレーザー社を買収しました。現在のGEにおける金属3Dプリンターのビジネスの規模は約300億ですが、2020年までに1000億円まで拡大させる計画が進められているといいます。世界の中でもっともハイスペックな産業のひとつは航空機産業ですが、では他の業界に展開するのはいつか。レポートには明確に述べられていませんが、おそらく10年といったスパンとなるでしょう。しかし採用されるマーケットは分かります。大きく2つ、医療機器と自動車です。革命的な産業の変化をもたらすのは、常に「コスト」の大幅な低減です。蒸気の利用、電気の利用、ロボットとパソコンの利用がこれまでコスト構造を大きく変えてきました。プレスで1ショットいくら、という部品のコストが大きく変わることはなさそうですが、複数の工場、工程、そして長いリードタイムを掛けて作られる高付加価値な部品はかなりのマーケットを3Dプリンターによって奪われる未来が確実にくると思われます。



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