船井総研「部品加工業」経営FAXレター

今月の最新技術について~鋳造加工の特殊技術「Vプロセス工法」~

山崎 悠
更新日:2016.05.26

 今回は砂型鋳造における特殊技術である、Vプロセス工法をご紹介します。Vプロセス工法のVとは、VacuumのVであり、通常は大気圧下で加工する砂型鋳造を真空に近い減圧環境で行う鋳造方法です。一般的な砂型鋳造の工程では、製品の写しとなる模型を作成し枠内に収めた後、砂を投入し、硬化剤を混ぜた砂を衝き固めることで砂型を製作します。こうして製作された砂型の中に、溶融金属(湯)を流し込み製品形状を作り、バリ等を取った後に完成となります。砂型鋳造のメリットとしては複雑形状の製品を単品から安く、早く作ることができるという点があります。しかし、砂型鋳造の場合、金型へ射出成形するダイカスト等とは異なり成形が大気圧下で行われるため、薄肉や微細構造、エッジ等の形状を再現することは難しく、また機械加工による仕上げ加工が必須という制約条件があります。
 Vプロセス工法では、この砂型製作、注湯・成形工程を真空に近い減圧状態で行います。砂型と湯の間には特殊なフィルムをはさんで成形するため、一般的な鋳物とは異なり鋳肌面が均一で、仕上げ加工が不要となります。また、減圧状態で注湯するため薄肉、微細構造、エッジ形状といった従来砂型鋳造が不得意としていた形状も、機械加工なしに難なく再現が可能です。さらに、砂型鋳造の特徴のひとつである多数個取りを容易に行うことができるため、機械加工では1つずつ加工する必要のあるロット生産に効果を発揮します。また、このVプロセス工法は、機械加工では不可能な形状を、機械加工よりも低コストで製作することが可能です。例えば内部に気体や液体を流す冷却フィンや、軽量化が必要な部品に対しては、パイプをあらかじめ注湯前に仕込んで鋳込むことで、容易に中空形状の部品を得ることができます。またリブ形状や厚肉の肉抜き形状が多い部品等、材料歩留りの悪い部品においても大幅なコストダウンが可能となります。このVプロセス工法は従来からある技術ですが、大型の設備投資が必要となるため未だ広く普及はしていません。しかし、ワークによっては切削加工からのVプロセス工法への工法変換により、4割近くコストダウンを実現することができるため、枯れた技術である鋳物加工が近年見直される契機となっています。



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