船井総研「部品加工業」経営FAXレター

今月の市況
~「世界一速い会社」のつくり方 ~

片山 和也
更新日:2016.12.20

あらゆるビジネスにとって「速さ」は競争力の源泉です。特に製造業の場合は生産リードタイムを短縮することができれば、その分確実に利益を手にすることができます。京都市に本社・工場のある株式会社クロスエフェクトは、従業員30名の試作加工業、すなわち町工場です。同社は創業以来ひたすら仕事のスピードを追及し、従来リードタイム2週間かかっていた製品を最短4日間で納品しています。今や同社は他社で「もう間に合わない」と言われたメーカーの「駆け込み寺」の様な存在になっています。こうした同社の取り組みは当局からも高く評価され、経済産業省主催の「第5回ものづくり日本大賞」(製品・技術開発部門)において、最高賞である「内閣総理大臣賞」を受賞しました。
そんな同社の竹田社長は、史上最速の会社をつくるためには次の12のポイントがある、と言います。
1)速さの価値を理解している         7)60点を最短でカタチにする
2)何に命を使うのかが明確である       8)必ず他者に公開する
3)やるべきことを徹底的に減らす       9)コミュニケーションは質より量
4)あいまいな基準で優先順位を決めない   10)あたりまえを徹底する
5)いい仕事はデッドラインから         11)その作業が一番得意な人に任せる
6)全ての作業時間を記録する        12)すぐ動ける「仕組み」を用意する
例えば同社の場合、一般の工場で使用される様な「日報」は存在しません。その代わりに「秒報」があります。これはスマホに同社独自のアプリを入れたものですが、文字通り秒単位で作業時間を集計しています。こうした環境整備も、同社の仕事の速さに磨きをかけています。
しかし、現在では注目を集める同社も、決して今まで平坦な道のりだったわけではありません。現在のクロスエフェクトの社長である竹田社長(43歳)のお父様は、もともと量産の下請け企業を経営、100人近い従業員を抱えていました。取引先は大手電機メーカーS社の1社であり、90年代半ばまでは驚くほど儲かっていました。そんなお父様の口癖は「取引先は1社でよい」「よらば大樹の陰で、経営の安定している大手と徹底的に付き合え」というものでした。竹田社長ご自身が現在のクロスエフェクトの前身となる企業を創業した際は、父親の会社が「量産」を手がけていたのに対し、自身は逆の「試作」を手がけることにしました。「量産」は海外にどんどん移転するのが見えており、国内に残るのは研究開発にからんだ「試作」だと踏んだからです。また父親と真逆となる「特定顧客に依存しない」「取引業界も分散させる」を方針として創業以来掲げてきました。大手電機メーカーそのものが新興国との競争の中で、苦戦しはじめていたからです。
そんな竹田社長とお父様は言い争いが絶えなかったそうです。ところがある時、父親が急に亡くなります。取引先の大手電機メーカーS社も、業績が急激に悪化していきました。そして驚くほど儲かっていたはずの会社は、よく調べると驚くほどの借金を抱えていたことがわかりました。竹田社長はやむなく父親の会社を清算するところまで追いつめられます。ちなみに大手電機メーカーS社は、現在はもう存在しません。
その後、竹田社長は技術開発を積み重ね、現在では内閣総理大臣賞を受賞する様な立派なものづくり企業をつくりあげ、今日に至ります。時代背景が異なると成功要因も異なりますから、企業は常に変化・進化し続けていかなければなりません。部品加工業として同社から学べることは多々あると思います。
そしてこの度、12月16日(金)東京にて開催される、ファクトリービジネス研究会 部品加工業経営部会12月度定例会にて、株式会社クロスエフェクト 竹田社長をお招きして特別講演をしていただくことが決定しました。本定例会は、1社1回限り「無料お試し参加」が可能です 。
詳しくは巻末の「ファクトリービジネス研究会 部品加工業経営部会 12月定例会のお知らせ」をご確認ください。



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