船井総研「部品加工業」経営FAXレター

今月の市況~2016年3月の部品加工業の市況~

片山 和也
更新日:2016.04.11

今年の3月は昨年の3月とは全く違う傾向が見られます。それは、大手企業において例年に無い「予算消化」が見られるのです。例えば私の関係先の機械工具商社は、3月の数字の着地予想はドンドン上積みされています。また機械工具商社だけでなく、試作加工を行う精密板金会社なども「3月中に試作ワークを納めて欲しい」との大手ユーザーの要望を受け、夜を徹して対応に追われています。消耗品である機械工具を「期末までに入れて欲しい」というのは多々見られることですが、試作に使う加工部品を「期末までに入れて欲しい」という要望は、過去にはあまり見られないことでした。今期(= 2016年3月末決算)は、上場会社は円安の影響もあり過去最高の利益が出ると言われていますが、来期(4月以降)の業績は不透明だと考えています。こうしたことが背景となって、今年は例年に無い3月末の「予算消化」が行われているのです。4月以降については各社によって差が大きいですが、4月以降も引き続き受注が見込める、という好調な声も聞かれます。そして、こうした好調な業界は概ね2つの業界に集約されている様に見えます。それが ①次世代自動車関連 と ②IoT・クラウド・ビッグデータ関連 です。ガソリンエンジン主体の旧来型自動車産業はどんどん海外への生産移転が続いていますが、ハイブリッド車や、低燃費に貢献する省エネ部品といった「次世代自動車関連」の引合いは国内のいたるところで聞かれます。また現在は、自動運転あるいはセミ自動運転の車が増えることで、自動車に搭載されるセンサや液晶は飛躍的に増えています。車載用液晶の製造装置・検査装置に強い芝浦メカトロニクスや住友重機械などは、こなしきれないほど仕事を抱えています。さらにMEMS(微小電気機械システム)と言われる分野があります。これは、圧力センサ・加速度計・アクチュエータ・ジャイロスコープといった機器の総称のことです。これら機器は次世代自動車、IoTに欠かせない分野であり2010年から2015年にかけて市場規模が2倍になり、1兆2000億円もの市場となります。部品加工業マーケティングにより、こうした市場のニーズをキャッチできている会員企業様は皆様極めて多忙で、きちんと利益も確保されています。現在の経済の流れからすると、残念ながら今年秋から年末にかけて、かなり大きな経済危機が来ると考えておくのが妥当な経営判断でしょう。しかし中長期的にはIoTやインダストリー4.0に代表される、100年に一度の素晴らしい技術革新が続きます。つまり今回の経済危機でも、一時的に全体が大きく落ち込むことがあっても、その後は「すぐに業績を回復させる企業」と「落ち込んだまま中々回復しない企業」とに大きく二極化するでしょう。中小企業の場合は取引先の業績で自社の業績が決まるからです。もう一つ、市場が成熟化すると「勝ち組」「負け組」に大きく二極化すると言われますが、その理由は理屈抜きに経営者の“マインド”にあります。先日、全く別業種の経営相談がありました。その社長は「市場がシュリンクしているから、それに合わせて会社もスリム化する必要がある」と言われていました。しかし、その会社はまだまだ攻めきれていないエリアが国内でもたくさんあります。「市場がシュリンクするから自社もスリム化していたら、会社がつぶれますよ。市場がシュリンクしているなら、逆に商圏を拡大しましょう」ということで、その会社が手薄な東海エリアに支店をつくることを提案しました。大手企業の場合は市場のシュリンクに対して「海外展開」「M&A」という戦略で対応しています。中小企業の場合は「新規開拓」です。船井総研では中小企業が優良顧客を「新規開拓」するための方法を具体的にセミナー等で継続的にお伝えしています。ぜひ経営者の皆様には前向きに「攻め」ていただきたいと思います。



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