船井総研「部品加工業」経営FAXレター

今月の市況~部品加工業が行うべき「不況対策」とは何か?~

片山 和也
更新日:2016.01.27

2016年は波乱の幕開けとなりました。中国の上海株バブル崩壊に伴う株式市場の下落、そして、新興国需要の減退による資源価格の下落が広く伝えられています。また、あまり新聞では報道されていませんでしたが、昨年末にはウクライナがロシア政府に対するユーロ債のデフォルトを宣言しました。さらに、これもあまり報道はされていませんでしたが、スイスにグレンコアという巨大資源エネルギー会社があるのですが、同社の経営危機が伝えられています。そして、同社が破綻すると「第2のエンロン」になるとも経済筋では言われています。何か歯車が1つでも狂うと、経済恐慌にもつながりかねない世界情勢となっています。まさに、2016年の部品加工業の経営者のテーマは「不況に備えよ!」ということです。

では最大の不況対策とは何か?それは利益率を上げることです。経営的にいうと、営業利益率を上げることです。受託型の部品加工業でも営業利益率10%超、できれば15%超を目指すべきでしょう。なぜ利益率を上げる必要があるのか?それは不況期に売上が減少した時、利益率が低いとすぐに赤字になってしまうからです。赤字になってしまっては社員の雇用の維持ができません。企業の目的とは永続であり、また社員の雇用を継続することです。社員はがんばってくれていますが、しかし、せいぜい1ヶ月~3ヶ月先のことくらいしか考えていません。従って変化を嫌います。1ヶ月~3ヶ月スパンで考えるなら、変化しない方が効率は良いからです。ところが経営者は違います。経営者は少なくとも3年先、できれば10年先のことを考えて仕事にあたる必要があります。日本電産の永守会長は「営業利益率10%は5%の2倍ではない、2の2乗で4倍の経営改革が必要だ」と言われていますが、私もまさにその通りだと思います。戦略的な打ち手がないと、営業利益率10%を実現することはできません。

では「戦略的」とは何か?多くの会社にとって「戦略」を見直すというのは“商品”を見直すこと、あるいは”顧客”を見直すということです。部品加工業が営業利益率10%を目指すための商品・サービスとしては以下の4つが挙げられます。

① 工法転換  ② OEM受託  ③ ユニット受託  ④ メーカー化

リーマン・ショックや3.11の東北地方太平洋沖地震とそれによる東日本大震災など厳しい経済環境をくぐりぬけてきた、今、存続している会社の大多数は、必ず何らかの他社とは違う「強み」「長所」があります。自社の本当の「強み」「長所」が何なのかを把握し、そこを伸ばすことが全ての前提です。そして、どの様に伸ばすのか、という方向性が、「工法転換」「OEM受託」「ユニット受注」「メーカー化」ということになるわけです。従って、営業利益率3~5%の延長線上に10%はありません。3年~10年先を見据えた戦略性がなければ、日本電産の永守会長が言われる4倍の経営改革はありえないのです。

では、どうすれば3年~10年先の戦略的なことが考えられるでしょうか?それは現場を見ることも大事ですが、それと同時に、できるだけ遠く、社外に出る機会をつくることです。私の関係先を見ていても高収益企業の社長の共通点は、産学連携や他社視察、あるいはセミナーや勉強会など、新幹線あるいは飛行機を使うレベルでの積極的な出張が多いということです。そして、そうすることで、良い仲間と知り合い、良い影響を受け、高い戦略性につながるインスピレーションを得ていただきたいと思います。



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