船井総研「部品加工業」経営FAXレター

今月の市況~これから伸びる、次世代自動車マーケット~

片山 和也
更新日:2016.02.24

トヨタでは今、なぜかレクサスRX(旧車名ハリアー)とクラウンの国内の売れ行きが好調だそうです。昨年までの株高の影響で、資産を持つ層が新車の購入に至っているのだと思われます。ところがこれらの車種やエンジンはトヨタ本体ではつくられていません。レクサスは九州のトヨタ自動車九州㈱で作られています。車名にはトヨタの冠が入っていますが、トヨタ本体とは給与体系も異なる別会社です。またクラウンのエンジンを生産しているのはヤマハ発動機㈱です。ヤマハ発動機ではクラウン向けエンジンの生産が好調なため、この春も大きな設備投資をします。トヨタ本体は何を作っているのかというと、例えばSicウエハーを内製化し、EV(=電気自動車)用のパワー半導体の生産を内製化しようとしています。EVにおいてパワー半導体は主要部品の1つです。またトヨタでは、ハップル宇宙望遠鏡にも使用されている精密位置決め装置を大量に購入しています。モーター用のコイルに導線を巻く為の自動機に使われている様です。モーターの性能はいかに緻密にコイルを作るかで決まるそうです。このモーターがハイブリッド車やEVの中心部品であることは言うまでもありません。今、EVは飛躍的に性能が上がっており、米国テスラ社のEVは1回の充電で300km走行します。現在同社がパナソニックと共同で建設している、ネバダ州の新電池工場が稼動しはじめると、テスラのEVは飛躍的にコストが下がると言われています。つまりトヨタでは、ガソリンエンジンが今後廃れる可能性があり、自動車の主要動力源がモーターあるいはハイブリッドになることを見据えて、何を外注して何を内製するのか見極めを図っている、ということが容易に考察されます。こうしたEVが自動車の動力源として急速に浮上している背景として、リチウムイオン電池の性能が上がっていることに加え、AI(人工知能)による自動運転車がほぼ実用化の域に入っていることが挙げられます。例えばアメリカの自動車メーカーGMは、ウーバーと競合する配車アプリ会社、サイドカーの買収を1月20日に発表しました。GMは今年年初にも、同じく配車アプリ会社、リフトに5億ドル出資することを発表しています。現在研究されている自動運転車は、2020年にも商業利用が始まると言われています。自動運転車に前述の配車アプリが加わると、自動車を個人で所有せずとも、乗りたい時に自動で自動車を呼ぶことができ、自ら運転せずとも目的地まで乗っていけます。自動車に乗っている間は、読書や仕事など、自由に時間を使うことができるのです。欧州ではベンツがカーシェアリングサービスを展開していますが、GMやベンツのこうした動きは、自動車の近未来の使われ方に備えてのものだと思われます。あるティア1の社長は、将来は「車を自分で運転する」ということが、「乗馬場で馬に乗る」のと同じ様なことになる、と言われていました。つまり、大半の人は車を移動手段としか見ていないので、自動配車される自動運転車を活用します。自ら運転を楽しみたい人は、鈴鹿サーキットの様なサーキット場に行って思う存分に運転を楽しむ時代が来る、というのです。そうなると一般用の自動車のボディは鋼でつくる必要が無くなります。なぜなら自動運転だと事故が起きる確率が飛躍的に下がるので、自動車のボディは樹脂で充分ということになります。鉄鋼メーカーは脅威に感じていることでしょう。逆に自動運転が自動車の主流になると、車載用の液晶やセンサ、カメラ等はマーケットが広がります。実際、車載用液晶の製造装置・検査装置を手がけているメーカーはフル稼働の状態です。製造業マーケットの6割以上を占めるといわれる自動車産業が大きく変わろうとしています。我々も次世代自動車マーケットに対してアンテナを高くしておく必要があります。



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