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2019年2月の時流と、その対策

ここ数年好調であった生産財業界も、今年に入ってから一部で景気後退が聞かれる様になりました。

例えば愛知県の某トヨタ系大手部品メーカー。この会社を仮にA社、としておきます。A社は変速機まわりのユニットをつくっていますが、売上の半分がトヨタグループ、残りが海外大手自動車メーカー向けと言われています

半年ほど前まではA社は飛ぶ鳥を落とす勢いで、新工場の計画が発表され、協力会社もみな潤っていました。ところが昨年秋ぐらいから、A社の設備投資キャンセルの話がきかれはじめ、今年に入ってからフォルクスワーゲン(中国工場)向けの取引が激減して、3割前後も生産量が落ちているという話です。

今や愛知県の金融機関は、このA社の仕事をメインで行っている会社に対しての融資は、要チェックでのぞんできている、という話です。

 

これは私の想像ですが、変速機は内燃機関の自動車でなければ使われません。中国は国策として内燃機関からEVへのシフトを国内では進めていますが、米中貿易戦争の影響もあり、中国から海外への輸出が困難になったカーメーカーが、単純に変速機の購入にブレーキをかけている、ということは容易に想像がつきます。

ちなみに、このA社は東京駅にも大きな広告を出しています。昨年までの広告は「自動車のなめらかな動きを支えるテクノロジー」と、変速機を前面に出す広告を出していました。

ところが今年に入ると、その広告が「EVならA社」に代わっていました。

多くの生産財業界の関係者が「内燃機関は残る」「EVは全体の3割くらいにしかならない」「充電施設などインフラが追い付かない」と、言います。

 

本当にそうでしょうか。

 

例えばレコード針は絶対に無くなりません。なぜなら今まで出されたレコードを聴く人もいるからです。また昔に録音されたクラシック音楽は、CDよりもレコードの方が本当の音質に近づける、といいます。

しかし所詮、レコードは超々ニッチな存在であり、今やCDはおろか、ストリーミングでCDすら使われない時代になっています。ガソリンで動く車が近い将来、レコード針なみにレアな存在になる可能性は全く0ではありません。

現在の景気後退は、単なる需要サイクルによる景気後退だけでなく、技術革新による既存技術の陳腐化もその要因になっていますから、要注意です。

こうしたテクノロジーの未来予測が難しい原因として、有名な「ムーアの法則」に代表される、指数関数的変化を上げることができます。

ムーアの法則とは、半導体は2年ごとに実装密度が2倍になり、コストが1/2になる、というものです。この法則でいけば、性能は毎回2倍、4倍、8倍、16倍・・・と劇的向上していくことになり、コストは1/2、1/4、1/8・・・ と、劇的に削減されていくことになります。

こうした変化のことを指数関数的変化といいます。

かつてIBMは「パソコンはせいぜい10万台くらいの需要しかないだろう」との未来予測に基づき、パソコンのOSをマイクロソフト社に丸投げして、その後の主導権をマイクロソフト社に奪われた経緯があります。

人間の本能は「直線的変化」には対応できるそうですが、あるレベルを超えると劇的な変化になる「指数関数的変化」には、本能的に対応できないそうです。

ですから、かつてのコンピューターの盟主であったIBMですら、未来を読み間違えたわけです。

ちなみに、身近な指数関数的変化の例として、「何回紙を折ると、その厚みは月まで届くか?」という問題があります。これは、例えばここに、1枚のコピー用紙があったとします。このコピー用紙を2回、3回と折っていくと、だんだん折った紙の厚さが増していきます。

では、何回折ると、月まで届くでしょうか?と、そういう問題です。

皆様は、何回折れば月に届くと思われますか?1,000回、いえ、10,000回、いや、もっとうだろうと。人間の直観ではそう感じます。

 

しかし、実際の答えは、わずか「43回」。

コピー用紙の平均的な厚みは0.08mm。42回折ると35万km。地球と月の距離は38万kmだそうですから、43回で月まで届く計算になります。

もちろん、実際には紙は何回か折ったところで、それ以上は折れなくなりますが、ここで言いたいことはいかに人間の直観が指数関数的変化に対応しないか、ということです。

こうした指数関数的な変化を遂げて発展するといわれている主な技術分野は下記の通りです。

  ・半導体

 ・太陽電池

 ・バッテリー

例えば世界の製造業のお手本、といわれたGEは2018年7~9月期で2.6兆円もの巨額赤字を出しました。様々な要因がある様ですが、根本的には再生可能エネルギー(主に太陽電池)が思いのほか伸び、GEが得意とする化石燃料を燃やす発電機の需要が急激に減ったことが要因です。

世界に冠たるGEですら、未来予測ができなかった、ということなのです。

未来予測に関していえば、以前にオランダ視察で訪問した、世界No2の石油企業であるロイヤル・ダッチ・シェル社は「未来予測はできない、だからシナリオをつくる」といっていました。

ロイヤル・ダッチ・シェル社では世界中から優秀な人材をオランダ・ハーグの本社に集め、そこで前述の複数のシナリオをつくっています。これを同社では「シナリオズ」と呼んでおり、同社のホームページにもこのシナリオズは公開されています。

ちなみに昔、ロイヤル・ダッチ・シェル社では保有する北海油田の油井が流される、という大事故を起こしたそうですが、あらかじめ準備してあったシナリオズに基づいて行動したため、被害が最低限で済んだ、といわれています。

同じ石油会社であるイギリスのBP社が、メキシコ湾での油井爆発事故で経営を揺るがす大ピンチに至ったのとは大きな違いです。

冒頭の話に戻ると、産業構造そのものを変えてしまう様な変化の時代の中、全ての経営者は「シナリオ」を考える上での大局的な情報を得ることと、また、日々の市場のニーズを集める仕組みづくりが求められるのではないでしょうか。

この観点で、船井総合研究所では、生産財業界の経営者の皆様を対象として、次の経営セミナーを企画しました。

3月7日(木)東京会場:生産財・FAメーカー経営戦略セミナー

https://lp.funaisoken.co.jp/factory/lp/039775/index.html#_ga=2.224288668.665415361.1549282253-125209114.1503927706

上記 3月7日(木)のセミナーでは、年商28億円の中小企業だった自社を、今ではグローバル700億円の世界的メーカーに育て上げたスター精密 佐藤会長にご講演いただきます。

佐藤会長のご講演からは、今からの生産財業界の見通しについての、ここでしか聞けない大局的な経営の指針についてもお話いただきます。

もちろん、本セミナーは、私 片山も登壇いたします。

ぜひセミナー会場で、皆様とお会いできることを、心より楽しみにしております。


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